健康な生活を構築するホームベース型健康支援
人は病や障害をもつと、身体も精神も不活発になりがちです。そして、それが生活習慣として定着してしまいます。生活習慣というものは脳に存在するソフトプログラムのようなものです。たとえばルーチーンの生活をおこなっていく時にはいちいち考えて行動していません。行動変容を行うには、本人の脳にある生活習慣のソフトプログラムを入れ替える必要があります。しかしながら、減量や血糖コントロールしようと思って、一時的にはうまくいっても長続きせず、リバウンドしてしまうことがあります。これは、置き換えたつもりのプログラムが、「がまんしたり」、「ストレス過剰」な「非常事態のプログラム」であれば、時間がたつと元のプログラムに戻ってしまうからです。
生活習慣のプログラムを入れかえるために私が考えたのが、ホームベース型健康支援です。「自らの生活の場(Home)という安心安定した環境のなかで、本人自身の内発的動機付づけを尊重し、目標達成型で行動変容を行い、支援者は本人ができることをできるように支援し、新しいライフスタイル(ホームベース)を目指す」ものです。生活習慣のソフトプログラムを入れ替えるためには、外的基準にあわせて「どうしなければならないか」だけでなく、 内発的動機付けを尊重し、「どうありたいのか」「どうなりたいのか」、「どうしたらできそうか」といったことに焦点づけることが大切だと思います。すなわち、「目標設定」や「方法の選択」など「自己決定の能力」を最大限に尊重していくことが大切です。
ホームベース型健康支援の3要素として、前向きの態度 (行動変容に積極的になること)、自己効力感 (行動をうまくやれる自信)、周囲からの支援 (重要な他者からのさまざまな形の援助)を設定します。
たとえば、毎日運動する習慣がない高齢者であれば、できるだけ長く自立した状態で生活してもらうために、毎日歩くといった適切な運動をすることに「前向き」になってもらいます。本人が「できる」と思えるような歩数の目標や方法の設定をすると「自己効力感」が得られます。そして、定期的に周りの人に歩数を知らせる「仕組み」を作れば、「周囲からの支援」を行うことができます。
同時に、生活習慣を変えるためのシナリオを考えるのも有効です。たとえば、「1日の歩数を7000に設定し、歩くようになると体も疲れ、よく眠れるようになる。また、歩く仲間も増えて、話しながら歩くので、お互いの励みにもなり、認知症の予防にもなる。周りから、『目標達成おつかれさま』とか言われる嬉しい気持ちになる」といったものです。シナリオがある方が、プログラムの入れ替えがスムーズにいくようです。(馬場園 明)
